エクセバール(EVAL)の構造について

 

エクセバール (EVAL) は、エチレンビニルアルコール共重合体 (EVOH) の商品名であり、クラレ株式会社が製造しています。EVALは、優れたバリア特性や透明性を持つポリマーで、食品包装、医療、化学品貯蔵などの用途に広く使用されています。エクセバール 構造

 

エクセバール(EVAL)の化学構造

エクセバールは、エチレン(C₂H₄ ビニルアルコール(CH₂CHOH を繰り返し単位とする共重合体です。その一般的な化学構造は以下の通りです:

-[CH₂-CH₂]-[CH₂-CHOH]-
(エチレン単位とビニルアルコール単位の繰り返し)

  • エチレン単位は柔軟性と加工性を向上させます。
  • ビニルアルコール単位は強力なバリア特性(特にガスバリア性)を提供します。

エクセバールの特性は、エチレン単位の含有量(通常、2060%)によって大きく変わります。

 

構造と特性の関係

  1. エチレン含有量の影響
    • エチレン含有量が多い場合: 柔軟性や耐水性が向上しますが、ガスバリア性は低下します。
    • エチレン含有量が少ない場合: ガスバリア性が向上しますが、耐水性が低下します。
  2. 結晶性
    • ビニルアルコール部分は高い結晶性を持ち、水やガスの透過を効果的に防ぎます。
    • エチレン部分はアモルファス性を増加させ、全体の柔軟性を確保します。
  3. 水分の影響
    • エクセバールは親水性を持つため、水分を吸収すると性能が変化します。特にガスバリア性が低下するため、乾燥状態での使用が推奨されます。

 

エクセバールの製造プロセス

エクセバールは、以下のプロセスで製造されます:

  1. 共重合反応
    • エチレンとビニルアセテート(VA)を原料として、共重合反応を行います。
    • 生成物はエチレンビニルアセテート共重合体(EVA)です。
  2. 加水分解
    • EVAを加水分解し、ビニルアセテート部分をビニルアルコールに変換します。この過程でエクセバールが得られます。


 

エクセバールの用途と応用

  1. 食品包装
    • 高い酸素バリア性が食品の鮮度を長期間保持します。真空包装や多層フィルムに使用されます。
  2. 医療用途
    • 医薬品包装において、酸素や湿気を防ぐために使用されます。
  3. 化学薬品貯蔵
    • 化学薬品の劣化を防ぐための容器やタンクライナーに使用されます。
  4. 自動車燃料タンク
    • ガソリン蒸発を防ぐバリア層として採用されています。

 

エクセバールの構造は、特定の用途に合わせて最適化されるため、さまざまな産業で重宝されています。そのユニークな特性は、エチレンとビニルアルコールの絶妙な組み合わせによるものです。

 

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